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会見で質問に答える宮城県の村井嘉浩知事=2024年11月13日、仙台市青葉区、福留庸友撮影

 全国知事会の会長を務める宮城県の村井嘉浩知事は13日、所得税がかかる年収の最低ライン「103万円の壁」の引き上げについて「少なくとも、私が総理の立場なら首を縦に振らない」と反対する立場を示した。

 県は地方分の減収が4兆円という国の試算を前提に、全国の住民税に占める宮城県分のシェアから機械的に減収額を推計。県と県内35市町村分の住民税関連では約620億円分の税収が減り、所得税が原資となる地方交付税分と合わせ、県全体では計810億円の減収となる試算を明らかにした。知事は「たちどころに財政破綻(はたん)するだろう」と懸念した。

 所得税がかかる年収の最低ラインを引き上げる公約を掲げた国民民主党を中心に、与野党で議論が熱を帯びる状況に「何を削って、どこから財源を生み出すのか。借金以外にこういう方法で生み出すんだと、絵空事ごとではなく、現実に足がついた具体的な方策を示して話し合ってほしい」と注文をつけた。

 財源に関しては、歳出削減で捻出するとの案が出ていることに「それができたらとっくにやっている。ギリギリのところでバランスを保ちながら成り立っているものに、短期間にメスを入れるのは簡単ではない」と否定的な考えを示した。

 国債の発行で賄うとの案があることについても「将来の国民に、これから生まれてくる子どもたちに、ツケが回ることがあってはならない」と語気を強めた。

 その上で、国民の負担が軽くなることには反対しづらいとしたが「(財源が見えない)今の状況では、賛成とは言えない」と述べた。「103万円の壁」をめぐっては、全国知事会、全国市長会、全国町村会を含む地方6団体で今後、要望書をまとめ、地方創生担当相に提出するという。(福留庸友)

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