市場の番人といわれる公正取引委員会の、新しいタイプの行政処分「確約手続き」が存在感を増している。「法律違反」との認定まではしない、というその処分。中途半端なようにも思えるが、効果はあるのか。
「独占禁止法の規定に違反することを認定したものではない」
4月、公取委幹部は、米グーグルに対し初の行政処分を行った際の会見でそう強調した。
グーグルはインターネット広告分野で提携する旧ヤフー(現LINEヤフー)に、「検索連動型広告」の配信を制限するような要求をしており、公取委は、公正な競争がゆがめられている疑いがあるとみていた。これについて、違法とまでは言わないが、行政処分は行う――。
この、直感的にわかりにくい処分が確約手続きだ。
導入された2018年以降、存在感が一気に増し、19~23年度に公取委が行った全行政処分53件の3割(18件)を占めている。昨年度だけで見ると、全処分9件のうち過半数の5件で適用された。
売りは「スピード」だという。
デジタル市場への対応に「有力」 消費者庁でも新たに導入
従来は、独禁法違反の疑いを…