6月に北海道内の河川で初めて確認された特定外来生物のチャネルキャットフィッシュ(通称アメリカナマズ)について、環境省北海道地方環境事務所は11日、繁殖を繰り返している「定着」の可能性は低いとする調査結果を発表した。定着すればサケの卵を食べるなど水産業への影響も考えられ、同省などは目撃情報の収集や注意喚起を引き続き行う。
道内では6月に江別市の河川で釣り人が釣り上げ、初めて発見された。同省が河川周辺で調査をしたが、他の個体は見つからなかった。確認地点周辺や道央、根室、十勝などの計97地点での調査で、川の水など環境中からアメリカナマズのDNAは検出されず、定着の可能性は低いと判断した。侵入経路は分かっていない。
アメリカナマズは外来生物法で、特定外来生物に指定され、飼育や生きたままの運搬、河川への放流は禁止されている。アメリカナマズが定着すると、ハゼなどもともとすんでいる魚やサケの卵が食べられるなど、生態系や水産業への影響が考えられるという。
環境省の担当者によると、茨城県の霞ケ浦では1匹のアメリカナマズの中から10匹以上のワカサギが見つかった事例もあるという。「侵入初期の対策が重要で、警戒態勢を維持していく。『入れない、捨てない、広げない』を守っていただきたい」と注意を呼びかける。
アメリカナマズは8本のひげや体に黒い斑点、大きなくさび形の尾びれが特徴で、成魚は体長50センチから1メートルほどだという。1971年に食用で日本に持ち込まれ、茨城県霞ケ浦や滋賀県琵琶湖など本州を中心に漁業や生態系への影響が出ているという。(古畑航希)