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開駅100年の記念イベントに参加し、列車の写真を撮るファンら=2024年6月23日午前11時48分、北海道稚内市
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 「最北の秘境駅」で知られる北海道稚内市のJR宗谷線抜海駅の存続へ、地元有志がオンライン署名への協力を呼びかけている。来年3月での廃駅をJR北海道に伝えた工藤広市長に再考を促すためだ。存続を求めて4年余り。廃駅の姿勢を崩さぬ市に、地元は「最後は世論に頼るしかない」と署名活動に踏み切った。

 署名は今年6月に開駅100年の記念事業を企画した地元有志でつくる実行委のメンバーが企画。「観光としても価値の高い駅を地元の利用が少ないという1点だけで存廃の判断をしていいのか」と問いかけている。1万筆を目標に10月10日から始め、8日現在、6700筆以上が集まった。受け付けは続けるが、いったん10日で締め、11日に集計分を市に提出する予定だ。

 抜海駅は2019年12月にJR北が廃止対象とし、工藤市長は同意した。だが、地元の合意が得られず、21年度から市がJR北に維持管理費を支払って存続してきた。市は乗り合いタクシーなど代替交通体系を整えるとしてきたが、住民が納得する計画には至っていない。

 市はJR北への維持管理費予算として毎年約100万円を計上。実際は年50万~90万円で、住民が無償で駅舎を清掃するなどして市の負担を軽減してきた。鉄道ファンらが泊まる民宿の死活問題にもつながるだけに、地元は「維持管理費を寄付するので市に負担はかけない」と申し出たが、受け入れられなかった。

 一方、大正建築の風情が残る…

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