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統計

 総務省が8日に発表した9月の家計調査によると、2人以上の世帯が使ったお金は平均28万7963円で、物価変動の影響をのぞいた実質では前年同月より1.1%減った。減少は2カ月連続。物価が上がるペースに賃金の伸びが追いつかず、手取り収入が目減りしたことも響いたようだ。

 使途別では、自動車購入が4割の大幅減となった。8月末に上陸した台風10号などによる悪天候の影響で、販売店の客足が減った可能性があるという。月ごとの変動幅が大きい自動車や住居関連などを除外した支出額は3カ月ぶりに増えたが、0.3%増と小幅にとどまった。生鮮野菜や果物、肉類といった幅広い食品の減少は続いており、総務省統計局は「家計の節約志向は変わっていない」と分析する。

 前月に3割超の大幅増となったコメは7.4%減った。減少するのは8カ月ぶり。前月は台風や地震に備えた買いだめがあり、その反動が出たとみられる。

 一方、2人以上の勤労者世帯の可処分所得は40万2605円で、実質で1.8%減った。春闘で決まった高水準の賃上げや定額減税の効果で一時は8%超の伸びを示していたが、5カ月ぶりに減少に転じた。賃金の受取額は増えても、物価水準の上がり方のほうが大きくて、手取り収入が目減りする状態に戻ったことを示している。

 赤沢亮正経済再生相はこの日の閣議後の記者会見で、「デフレマインドが効いていて、物価が落ち着くまで待ってから買おうという消費行動になっている」と指摘。月内にもまとめる総合経済対策などで対応を急ぐ考えを示した。(内藤尚志)

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