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池田香代子さん=本人提供
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 「世界には63億人の人がいますが、もしもそれを100人の村に縮めるとどうなるでしょう」。そんな書き出しで始まる絵本「世界がもし100人の村だったら」を出版した翻訳家の池田香代子さん(75)は、長年、SDGs(持続可能な開発目標)の理解促進にも取り組んできました。池田さんに、「SDGs達成への飛躍の機会となる」とアピールする大阪・関西万博に対する受け止めや期待を聞きました。

 ――「世界がもし100人の村だったら」は2001年の出版です。国ごとの経済格差といった世界の実情をやさしい言葉で解説し、国連が15年に採択したSDGsを先取りする内容でした。

 「100人村」の出版前に、SDGsの前身となるミレニアム開発目標(MDGs)の内容が明らかになっていたのですが、私は当時、その存在を知りませんでした。本を出した後になって、格差問題などに取り組んでこられた市民団体から教わりました。この市民団体とはそれから20年以上、MDGsやSDGsの普及活動で協力しています。

 ――SDGsに対する日本社会の理解は、この10年近くで進んだと感じますか。

 日本でSDGsが知られるようになったのは、第2次安倍政権が2017年、吉本興業によるSDGs関連の取り組みを表彰するなど、社会へのアピールを強めたころからでしょう。それまでは、「100人村」シリーズや、講演を通じて世界の格差問題を訴えても、手応えはありませんでした。ところが、吉本興業のタレントがSDGsを語り始めたことを受け、どんな企業でもSDGsに言及しないとダメだという雰囲気が社会に生まれたと感じます。政府を挙げた宣伝の影響はやはり非常に大きいです。

 ――普及したのはよいことではないですか。

 ただ、社会の反応はまだぬるいと思います。SDGsは言葉として知られるようになったとは感じますが、17ある目標を理解しているかや、取り組みを我が事として考えられているかという点には疑問が残ります。一方で、日本が長年、低成長に苦しんできたことが影響してか、最近では「100人村」を読んだり、講演を聞いてくれたりした小中学生から、「日本が世界の中でも裕福な国だったとは知らなかった」という反応が寄せられるようになっています。

「大阪万博でいっそ反面教師を演じたら」 厳しい言葉に込めた意味

 ――今回の万博は開催目的に、SDGs達成への貢献をうたっています。

 大阪での万博とSDGsがど…

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