東京・永田町の衆院議員会館は先週、引っ越しラッシュだった。衆院選で落選した前職が、10月31日までに退去するよう求められていたからだ。廊下や壁にキズ防止の養生が施され、12基あるエレベーターの半分には「引っ越し専用です」の貼り紙。大量の書類を積んだカートが行き交い、廃棄されるであろうファイルの背表紙に「議員連盟」「陳情」などの文字が見えた。

 投開票から退去まで、わずか4日間。「12年分の荷物を4日で処分するんだから、大変ですよ」。落選した自民前職の秘書が力なくぼやいた。

 12年。それは、2012年の衆院選で自民、公明両党が政権に復帰してからの時間を指す。この間、安倍晋三、菅義偉、岸田文雄の3人の首相のもと、「自民1強」の政治状況が続いた。国政選挙のたびに自公はもちろん、自民単独でも過半数を確保するのが当たり前のような光景で、与野党の攻防ラインは改憲勢力が3分の2を占めるかどうか、ということも多かった。先の秘書が仕えた前職も12年に初当選し、その後、追い風の選挙で当選を重ねてきた。

 私自身、14年4月に政治部…

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