厚生労働省は7日、9月分の毎月勤労統計調査(速報)を発表した。物価の影響を考慮した働き手1人あたりの「実質賃金」は前年同月より0.1%減り、2カ月連続でマイナスとなった。6月分で27カ月ぶりにプラスとなったが、プラス基調は定着していない。
- 実質賃金が減った国民の怒り、既存の支配者に抵抗 分配構造の転換を
9月は、労働者が実際に受け取った「名目賃金」にあたる現金給与総額が2.8%増の29万2551円だった。実質賃金の計算に使う9月の消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)は2.9%上がり、この物価上昇分を差し引いた実質賃金は0.1%のマイナスとなった。物価は、9月請求分から復活した電気・ガス料金の補助金の効果で、0.55%押し下げられた。
現金給与総額のうち、基本給などの所定内給与は2.6%増の26万4194円と、31年ぶりの高い伸びだった。ボーナスを含む「特別に支払われた給与」は16.1%増の9193円だった。
現金給与総額を就業形態別にみると、フルタイムの一般労働者は2.6%増の37万2881円、パートタイム労働者は1.8%増の10万6903円だった。
厚労省は今夏(6~8月)のボーナスについても発表。ボーナスの支給がある企業では2.3%増の41万4515円だった。ボーナスの支給がない企業も含めた全労働者の1人あたりの金額は5.7%増の34万9436円だった。
厚労省の担当者は「物価は高止まりしており、実質賃金が今後プラスとなるかは不透明。引き続き物価の動向を注視する」と話す。(宮川純一)