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鳥島近海で観測された地震により発生した津波について説明する気象庁の青木重樹・地震津波対策企画官=2024年9月24日午前10時26分、東京都港区の気象庁、力丸祥子撮影
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 地震の規模は大きくないものの、東京・伊豆諸島で10年おきに発生する「謎の津波」と呼ばれる現象がある。詳しいメカニズムが分からず、気象庁による注意報は「後出し」が続いてきたが、9月の地震では初めて事前に発表することができた。背景には、技術的な進歩に加え、「AI(人工知能)にはできない」という職員の機転があった。

 9月24日午前8時14分、東京・伊豆諸島の鳥島近海で地震が発生。地震の規模を表すマグニチュード(M)は5・8と推定され、震度1以上を観測した地点はなかった。

 しかし、北に600キロ近く離れた東京都港区にある気象庁5階の地震火山オペレーションルームは一瞬で緊張感に包まれた。職員たちの脳裏に「謎の津波」がよぎったからだ。

メカニズム分からず、続く「後出し」注意報

 鳥島近海で発生した同規模の地震では、1984、96、2006、15、18年にも津波が観測された。近くの海底火山との関係を指摘する研究もあるが、気象庁は明確に関連づけができず、発表基準である20センチを超える津波が実際に起きても、観測後に注意報を出す、「後出し」が続いてきた。

 津波の発生は、震源の深さなど考慮すべき要素は多いが、「謎の津波」を除いて、M6・5前後よりも小さい規模の地震で津波を観測した例はほとんどない。Mは1増えると、エネルギーは30倍となる。「大地震」と呼ばれるM7以上の地震より規模が小さく、「中地震」に相当するM6程度の地震では通常、津波が生じる例は少ない。

 ただ、地震津波監視課の桑山辰夫調査官は「『特異な事例』と捉え、庁内で検討を重ねていた」と明かす。「謎の津波」も含め、年に数回程度しかない津波の注意報や警報発表の判断について、職員で共有し、似たようなシナリオを想定した訓練を日々行ってきたという。

 さらに今回の地震の5日前に、同庁は鳥島から北に100キロ余り離れた須美寿島で海底噴火のおそれがあるとして、噴火警報(周辺海域)を発表していた。予兆もあり、津波の発生について、「心構えはできていた」(桑山調査官)という。

注意報の発表、10万通りのデータベース活用

 実際に地震発生から6分後の…

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