写真・図版
阿蘇山を望む水田で農薬を散布する前田孝一さん=8月、熊本県菊陽町、渡辺淳基撮影

 「これじゃあコメを作る気もなくなりますよ」

 熊本県菊陽町の専業農家、前田孝一さん(77)は9月、収穫期が近づく稲を見渡しながら語った。

 コメ作りを始めてから50年あまり。春になると田んぼに水を張り、手をかけながら育てて秋に収穫する生活を続けてきた。

 今年はスーパーなどからコメが消えた「令和の米騒動」もあって、米価は改善の兆しがあるが、コメ作りが報われるようになるとは思えない。周囲の農家が次々に稲作をやめていったことが、それを物語る。

政府はコメからの転作を奨励

 理由の一つが、政府のコメ政…

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