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きらやか銀行本店=山形市

 山形県の第二地銀である「きらやか銀行」(山形市)が大幅な赤字に陥り、事実上、国の管理下に入った。公的資金の返済期限を13年も先送りし、経営トップは交代。地場企業を支え続けるという理想を掲げた地方銀行に、何が起きたのか。(久保田侑暉)

 市内中心部に立つ老舗、山形グランドホテルの会場は、和やかなムードに包まれていた。2019年3月20日。県内で優れた実績をあげた中小企業などを顕彰する「きらやか産業賞」の贈呈式があった。

 主催した財団の理事長を務めた粟野学頭取(当時)は「きらやか銀行は取引先の本業支援や地方創生の実現に取り組んでいる」と語った。受賞者の中に、トガシ技研(山形県鶴岡市)の名もあった。強みとする産業用ロボット製造の高い技術力などが評価された。

 だが、トガシはこの時、すでに粉飾決算に手を染めていた。実際には商取引がないのに、架空の取引をでっち上げ、相手の企業と互いに手形を振り出して現金化する「融通手形取引」を繰り返していたのだ。

 昨年2月、トガシ技研は東京…

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