27日に投開票された衆院選は自民と公明の与党が15年ぶりに過半数を割り込む歴史的な結果になった。一方、高知県内では自民候補が野党との一騎打ちを制し、小選挙区2議席の独占を維持した。県内の主要4政党の代表に、選挙戦を振り返り、今後を展望してもらった。(亀岡龍太、原篤司、羽賀和紀)
- 玉木代表おひざ元で国民民主が比例初議席 公明は逆風耐え1議席死守
自民党高知県連・明神健夫幹事長
(政治とカネの問題で)全国的な逆風の中、小選挙区の高知1、2区は自民の中谷元、尾崎正直がそれぞれ議席を守った。防衛相の中谷は一度も高知入りできないハンデもあったが、一番の勝因は2人が政治資金の問題と無関係だったことだろう。
もちろん自民で起きたことなので、尾崎は、政治不信を生んだことを直接わび、改正された政治資金規正法について丁寧に説明した。少子化対策を含む社会保障の充実や防災対策などとセットで、財源を賄うための産業政策もわかりやすく訴え、支持が広がった。
非公認候補が代表を務める政党支部への2千万円支給が報道された終盤の逆風がなかったら、与党は過半数の議席を取れていたかもしれない。
ただ、このまま逆風が続けば来夏の参院選は戦えない。早く党本部に、政治とカネの関係をクリアにしてほしい。(原篤司)
公明党高知県本部の西森雅和代表
四国比例では党公認の山崎正恭が、なんとか勝ち抜くことができた。自民から「比例は公明党に」と訴えていただいた効果は大きかった。
しかし、政治とカネの問題に対する風当たりは非常に強かった。公明は一貫してクリーンな政治を続けてきたが、選挙戦では政治資金の問題だけがクローズアップされた。与党というだけで大変な逆風で、全国的には大幅に議席を減らした。
自民と連立政権を組んで25年。今まで政権を一緒に担ってきたのに、選挙の時だけ別々ということにはならない。国政では自公政権の安定化を図りながら、地方の現場では公明をさらに支持してもらえるよう努めたい。
支援組織が高齢化するなか、議員一人ひとりが発信力などを高め、より広く支持される組織にしていきたい。(羽賀和紀)
立憲民主党高知県連の長尾和明幹事長
全国では立憲が躍進し、与党が過半数割れとなったが、県内では高知1区で返り咲きを目指した県連代表の武内則男が比例復活にもならず、残念だ。2区では結局、候補者を立てられず、組織の力不足を痛感している。
武内は得票を前回2021年より5千票余り増やし、得票率も7ポイント余り伸ばした。政治とカネや旧統一教会の問題、物価高対策などで与党の対応に異議を唱え、政権交代をアピールした結果で、手応えはあった。
選挙戦の最後の1週間、街頭で有権者が手を振ってくれる場面も増えた。連合高知傘下の労組などの手厚い支援もあった。だが、短期決戦では、知名度のある自民前職の壁を崩せなかった。
今後は政局をにらみながら、来夏の参院選に向けて武内代表を中心に取り組みを強めていく。
共産党高知県委員会の春名直章委員長
「自民はいかん」という民意の受け皿に党がなりきれなかった。
浜川百合子を擁立した高知2区では、知名度のある自民前職を相手に4万3千票台の得票で健闘したが、もう一歩努力が必要だった。四国比例では、県内の得票率は前回より伸びたが、21年ぶりの議席奪還はできなかった。
ただ、全国では自公を過半数割れに追い込んだ。党の機関紙のスクープ「2千万円バズーカ砲」があってから自民への怒りが一層広がり、決定的な役割を果たせた。野党が結束すれば、自公政権が「暴走」してきた国会の議論も変わるだろう
県外では共産も含め野党が複数立った所もあるが、県内では立憲とすみ分ける形となり、意義はあった。市民・野党との共闘は自民との対決に不可欠で、来夏の参院選でも追求していく。(亀岡龍太)