日韓を結ぶ高速船「クイーンビートル」の浸水を隠して3カ月以上運航を続けた問題で、運航会社のJR九州高速船(福岡市)は31日、国土交通省から受けた海上運送法に基づく安全確保命令に対する、改善報告書を同省に提出した。同社は昨年も同様の違反で処分を受け、改善報告書を提出していた。
- 問われるJR九州のガバナンス 浸水隠しで2年連続子会社処分の異常
国交省は9月17日に出した「輸送の安全の確保に関する命令」で、この日までの報告を求めていた。今回は、違反内容の悪質さから、法制化以来初めて同省が出した安全統括管理者と運航管理者の解任命令にも従い、同社は新たな管理者2人を31日付で選任した。
改善報告書では、当時の社長と安全統括管理者、運航管理者、運航管理者代行の4人が運航継続を決めたと社内調査の結果を示した。そのうえで、「浸水量は船体の規模からすると非常に軽微」と安全統括管理者が判断し、運航管理者も含めて法令順守の意識も希薄だったと原因を分析。当時の社長も「国に報告すれば運航停止の指示は必至」などの意見を聞き、運航継続を認めたとした。
再発防止に向けては、社員の教育訓練や組織の見直しに加え、親会社のJR九州によるガバナンス強化を掲げた。具体的には、安全管理をチェックする安全推進部を設置▽社外機関による監査▽JR九州在籍の非常勤取締役が現地確認などで実態把握▽JR九州監査部による監査の実施――などの対策を示した。
また、安全統括管理者は取締…