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山梨県

 深刻化している山梨県内の公立小中高校などの教員不足が今年度はさらに増大し、5月1日時点で計83校、83人が未配置となっているという調査結果を県教育委員会がまとめた。不足人数は前年度同時期の38人から2倍以上に増えた。欠員が出た現場では、教員の負担が増えるなど、しわ寄せも生じている。

 県教委によると、必要な数の教員が配置できていなかったのは小学校28人(前年度同時期23人)、中学校23人(同5人)、高校23人(同10人)、特別支援学校9人(同0人)。調査日時点では担任の未配置はないという。

 今年度から小学校4年生にも25人学級が導入され、クラス数が増えることもあって、県教委は事務職員を含めて前年度より25人多い259人の新規採用者を3月時点で確保。公務員の定年が61歳に延長されたため、退職者は少ないとみていたが、管理職を中心に定年前の早期退職が予想以上に多かったという。また、特別支援学級の数が増加したことも要因とみている。

 ある1学年1学級の小規模小学校では、この夏から3年生の担任が産休に入った。校長が代わりの教員を探したが見つからず、教頭、他学年の教員に加えて、校長自身も図工や体育などの授業を担当しているという。「校長だけの力では、年度途中の代替教員確保は特に難しい。県教委の支援が必要」と訴える。

 県教委義務教育課は、「児童・生徒数の見通しから教員不足は2026年度までは続く」と見ており、対策として、県内での公立小学校勤務を条件として奨学金返還の補助をする制度の導入など、教員確保策を進めるとしている。(米沢信義)

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