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2023年5月17日、ドイツのベルリンで、ウクライナからの避難民のための宿泊施設に到着した人々=ロイター

 国連人口基金(UNFPA)は22日、ロシアの侵攻によるウクライナの人口への影響の推計値を発表した。それによると、2022年2月の全面侵攻時に約4300万人だった人口は約800万人減少し、現在は約3500万人になっているという。また、ロシアが一方的にクリミア半島を併合した14年以降でみると、約1千万人の減少だった。

 推計値はウクライナ政府やUNFPAの人口データをもとに算出した。UNFPAによると、ウクライナでは侵攻前から少子高齢化や人口の国外流出の問題があった。ただ、ロシアによる侵攻で多くの人が命を落としたほか、約670万人が国外避難民となったことで急速に人口が減少した。出生率も女性1人あたり1人と、世界でも最低レベルに低下したという。

 UNFPAの東欧・中央アジアの担当者は記者会見で、「復興や未来を構築するための人的資本の大きな損失だ」と話し、経済と社会開発の長期的な戦略をたてるため、本格的な人口統計分析を実施する必要があるとした。(ブリュッセル=森岡みづほ)

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