婚姻の際に夫婦別姓が選択できない民法や戸籍法の規定は「婚姻の自由」を保障する憲法24条などに違反するとして、事実婚の夫婦が国に計100万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が21日、札幌地裁(守山修生裁判長)であった。国側は請求を退けるよう求めた。
同種訴訟で最高裁大法廷は、2015年と21年に現行制度を「合憲」と判断した。原告側は、その後の社会情勢の変化も踏まえ、改めて司法の判断を求める。東京地裁でも5組の夫婦が提訴している。
原告は、札幌市に住む医療従事者の佐藤万奈さん(37)と西清孝さん(32)。19年に法律婚をして、佐藤さんの姓は「西」に変わった。だが、職場で旧姓使用が認められず、適応障害となり退職。事実婚に切り替えたという。
国の統計によると、23年に法律婚した夫婦の95%が夫の姓を名乗る。
原告側は、改姓の不利益が女性に偏っていることを指摘。現行制度について「夫婦の一方が姓を変更するか、双方が姓を維持するために婚姻をあきらめるかの過酷な二者択一を迫るものだ」と主張する。
夫婦別姓を選択できないことは、憲法が保障する「婚姻の自由」を制約しているなどとし、国会が必要な法整備を怠ってきたと訴えている。
一方で国側は、婚姻制度のあり方は国会の広い立法裁量に委ねられるべきだと主張する。夫婦別姓を選べないことは、婚姻すること自体への制約とはいえず、ただちに憲法違反にはならないと反論した。
「多くの国民に関わる問題」衆院選の争点にも
「選択的夫婦別姓」制度は…