それぞれの最終楽章 また会う日まで!(6)
朝日新聞編集委員 中村俊介
妻はクリスチャンだったらしい。らしいというのは、最近まで僕も知らなかったから。
単身赴任先の大阪で聞かされて仰天した。信教は自由だから反対はしないが、そんな大事なこと、なんの相談もなく。お寺に法名までもらっていたのに。まあ、抗議したところで「干渉するな」と逆切れしたに違いないけれど。
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食事前にときおり思い出したように神様に感謝のお祈りを唱える程度のナンチャッテ信徒ではあったが、受洗にはそれなりの理由と覚悟があったはずだ。それを尋ねるのもなんとなくはばかられ、最後まで聞かずじまいだった。ただ、思い当たる節はある。
僕らには高校生の一人娘がい…