男性と比べると、女性は手が小さい、握力が弱い、身長が低いなどの性差がある。そのため、平均的な男性を基準に開発された製品は、多くの女性にとって使いづらく、ストレスを感じたり、体の不調につながったりすることもある。

 「内視鏡の操作性を、どうしても改善したい」。9月末、大阪商工会議所が開いた「ジェンダード・イノベーション」に関するイベントで、桃山診療所(名古屋市)所長の藤田亜紀子さんが訴えた。

写真・図版
内視鏡を使って検査をする藤田亜紀子医師=本人提供

 ジェンダード・イノベーションとは、これまで男性のみを対象や基準とすることが多かった研究開発において、男女の性差に着目して分析を行い、新しい製品やサービスの研究開発に生かす取り組み。近年、国内外で広がってきている。

  • 性差分析からイノベーション 研究者が見つけた診断や生活改善のタネ

 消化器内科医の藤田さんは、内視鏡による検査をする際、右手でカメラがついた管を支え、左手でダイヤル部分を持つ。そのダイヤルを回して管を進めたり、水を出したりといった操作をする。1日に何人もの検査をするため、ダイヤル部分の重さや大きさが負担になっていた。胃カメラや大腸カメラの管は細くなり、患者の負担は減っているが、医師の負担は変わっていない現状があるという。

 検査を続けるうちに背中や肩…

共有