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映画のワンシーン。ケアスタッフの協力で、絵を描く西田江里さん=「おもしろ制作」提供

 生きていく幸せが、スクリーンからゆっくりあふれてくる――。

 重い障がいがあり、医療的ケアも必要な西田江里さん(34)は、ケアスタッフの協力を得ながら、千葉県浦安市で一人暮らしをする。

 地域の中で生活する江里さんの姿を12年間にわたって追ったドキュメンタリー映画「江里はみんなと生きていく」が完成し、10月26日から公開される。

 江里さんは、生まれた時から脳に重い障がいがあり、体を自由に動かすことができない。

 24時間のケアが必要だが、周囲の協力を得ながら、地域の幼稚園、小学校、中学校に通い、育ってきた。

 8年ほど前からは、ケアスタッフの力を借り、一人暮らしも始めた。

 手のサインで行う簡単な会話「指談」もできるようになった。

 母親の良枝さん(64)は2001年、江里さんや、同じように障がいのある人らの生活をサポートするNPO「パーソナル・アシスタンス とも」を立ち上げた(06年に社会福祉法人に変更)。

 ドキュメンタリー映画監督の寺田靖範さんが、カメラを回し始めたのは、江里さんが22歳の時だった。良枝さんに頼まれ、「とも」の10周年の記念動画を作製したことがきっかけだった。

「簡単でないこの営みを、みんなに伝えたかった」

 24時間ケアの現場や、手術…

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