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ウクライナ中部クリビーリフで2024年9月27日、ロシアによるミサイル攻撃を受けた現場で救出活動に当たる救急隊員ら。ウクライナ非常事態庁提供=ロイター
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 黒く焼け焦げた建物の前で、住民のナディア・ゼムスコワさん(67)が泣いていた。今年2月、ウクライナの首都キーウ。集合住宅がミサイルで攻撃され、4人が亡くなった。

 家、学校、病院、駅、教会――。ロシアの侵攻が続く2年半余り、前線から遠く離れた場所へも何千回と攻撃が繰り返されてきた。そして、市民が殺され続けてきた。

 「なぜ国際社会はロシアを止められないの? ロシアが怖いから?」。ゼムスコワさんはそう言って、破壊された自宅を指さした。

 ロシアが怖いから、私たちへの支援をためらうのか――。ウクライナの人々が何度も口にしてきた、欧米の支援国への問いかけだ。

 国境から数百キロも離れた上空から発射されるミサイルが、ウクライナ各地に大きな被害をもたらす。ロシア領内奥深くの軍事拠点を攻撃しなければ国民の命を守れない。だが、最大の支援国である米国は今も、提供兵器をこうした攻撃に使うのを認めていない。

 背景にあるのは、核の存在だ…

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