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国内初の「コスメティックサイエンス学環」構想を発表する佐賀大の児玉浩明学長(左から2人目)ら=2024年9月30日午後1時33分、佐賀市本庄町、三ツ木勝巳撮影

 佐賀大(本部・佐賀市)が、化粧品に含まれる化学物質と人体との関係などについて学ぶ「コスメティックサイエンス学環」(仮称)を設置する。同大によると、化粧品産業への貢献を目的にする学部や学環の設置は全国で初めてという。2026年4月の開設を予定している。

 佐賀県は、唐津市や玄海町を中心とする県北部に、コスメティック産業を集積させ、コスメに関連する自然由来原料の供給地となる構想を進めている。

 9月30日の会見で、佐賀大の児玉浩明学長は「化粧品関係は成長が期待できる。諸外国ではこの分野の学部を大学に持っているが、日本には(化粧品関係の)『冠』をかぶせた学部や学環はなかった。何を教えるかを考えると、化学や生物学、医学など。これらの領域は佐賀大学が持っている」と学環設置の理由を語った。

 コスメ学環では、化粧品や、化粧品に含まれる化学物質が、人体とどのように関わるかを研究する。学環(学部等連係課程)とは、一つの専門分野に特化している学部に対して、複数の分野を組み合わせて学ぶことができる新しい教育の形のこと。今回は、化学分野を擁する理工学部と生命化学領域を抱える農学部を中心に、医学部や経済学部など全学部が協力して運営する。

 学環では、化粧品の開発や製造に関わる技術者や、化学物質の安全管理や適正利用ができる専門家、メーカーで食品添加物開発にあたる人などの養成をめざす。コスメティックサイエンスの分野で、将来イノベーションを起こせる人材が輩出することも期待している。

 募集人員は、前期日程が18人、後期は5人、総合選抜が7人で計30人を予定している。大学入学共通テストのほか、選抜方法によっては、数学や理科(化学)の個別学力検査がある。また、高校生や保護者らに学環を紹介するイベントを11月24日午前10時~午後1時20分に、同大本庄キャンパスで開催する(参加には申し込みが必要。詳細は10月21日以降、佐賀大のWEBサイトに掲載)。

 これまでもオープンキャンパスなどで、受験生のコスメ関連への関心が高かったことなどから、児玉学長は「一度は進路として検討する分野かと思う。次の時代の日本の一つの産業としてさらに伸びていく、そこに携わる人材になるのだという人を待っている」と話している。(三ツ木勝巳)

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