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野崎洋光さん(右)から和食の魅力を学ぶ佐原白楊高校の生徒たち=2024年10月7日午後1時54分、千葉県香取市佐原イ、小林誠一撮影
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 2004年アテネ五輪で野球日本代表チームの総料理長をつとめた野崎洋光さん(71)が7日、千葉県立佐原白楊高校(香取市佐原イ)で生徒に授業をした。キャリア教育に力を入れる同校独自の家庭科の授業「フードデザイン」で、和食の巨匠に学んだ。

 「おいしいのは地元の食材だから。宝を大切にしないといけない」。授業で野崎さんは、生徒たちに語りかけた。レシピを配り、生徒と一緒につくったのは「さつまいも餅」「蒸し鶏 豆乳ヨーグルトソース マッシュルーム添え」「簡単みそヨーグルト漬け」の3品。食材や調味料の多くは、同校近くの道の駅で調達したといい、地域の特産物でもある。

 授業を受けたのは「フードデザイン」を選択した3年生18人。海老原颯斗さん(18)は「一人暮らしになっても料理ができるよう受けた。テレビで見たことのある人で、話に説得力があった」。西浦希美(のぞみ)さん(18)も「地元の食材を生かし、おいしい。料理のレパートリーが広がる」と笑顔で話した。

 佐原白楊は、03年に県内初の共学単位制高校に移行。多様な進路に対応するため、「自分でつくる時間割」を掲げる。必修科目のほか、約50単位の選択科目があり、フードデザインもその一つだ。

 野崎さんは、東京都内の有名ホテルで料理長などを歴任した後の1989年、東京・西麻布に日本料理店「分とく山」を開店。グループ5店の総料理長を経て23年に勇退した。今も各種メディアで、和食の魅力を伝えている。

 同校や香取市の呼びかけを野崎さんが快諾し、今回の授業が実現した。家庭科の北川さおり教諭は「教科書では得られない学びがあった」と手応えを語った。

 同校のある香取市は、今月26、27日に全国発酵食品サミットの開催を控える。野崎さんの授業は、サミットの「プレイベント」にも位置づけられている。(小林誠一)

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