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巨大トラフグオブジェを彩色した東亜大学の学生ら=2024年9月18日午後2時43分、山口県下関市唐戸町、白石昌幸撮影

 唐戸市場(山口県下関市)のシンボルとなっている巨大なトラフグのオブジェのリニューアルが、このほど完成した。東亜大学(同市)の学生らが取り組んできた企画。下絵に彩色する総仕上げが終わると、新たに生まれ変わったトラフグの姿が披露された。

 唐戸市場の関係者によると、トラフグのオブジェは全長4.9メートル。2001年に開催された博覧会「山口きらら博」に出展され、博覧会後に唐戸市場が譲り受けた。市場の1階に展示されているが、近年は経年劣化で塗装がはげたフグの像の前で外国人観光客らが記念撮影していたという。

 その様子を見た関係者がオブジェの彩色を同大アート・デザイン学科の川野裕一郎教授に依頼。今年1月に同科の学生が描いた第1案のデザイン画「パステルカラーのトラフグ」が提示されたがあえなく却下。水色、和柄のデザイン案を経て、最終的に本来のトラフグ模様に落ち着いた。

 7月から唐戸市場の休場日などを利用して、同学科の学生5人が彩色を開始。十数回の作業日程を費やして、試行錯誤を重ねながらこの日の総仕上げにこぎ着けた。

 作業の合間に、同学科4年の上本雅さん(22)は「スプレー塗装でひれの金色をグラデーションに表現するところが難しかった。下関を訪れた観光客の思い出に残ってくれたらうれしい」と話していた。

 彩色を依頼した唐戸市場元理事長の松村久さんは「学生さんたちがこだわり抜いてプロに近い仕事をしてくれた」と満足げだった。学生を指導している川野教授は「街に出て人前で制作に取り組むことは本人たちの自信につながり、研究技術が向上する」と話した。(白石昌幸)

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