「液晶のシャープ」の終わり③
堺工場の稼働から1年ほどたった2010年冬、大阪市のシャープ本社の一角に、特許や法務など各部の「エース」が10人ほど集められた。全員がまず、秘密保持契約書へのサインを求められた。
当時を知る関係者によると、明かされたのは、台湾・鴻海精密工業傘下の液晶大手、奇美電子(当時)による堺工場への極秘の出資案だったという。後に鴻海から出資を受ける、1年半以上前のことだ。
09年10月に稼働した堺工場は、家電エコポイント制度などでテレビの需要が一時的に増加したことで、堅調な滑り出しをみせた。だが、すぐに変調をきたしていた。
韓国・サムスン電子やLG電…