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島根県邑南町の中山B-1号墳から出土した甲冑=島根県立八雲立つ風土記の丘提供
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 島根の前方後方墳に注目した特別展「王と前方後方墳」が、島根県立八雲立つ風土記の丘(松江市大庭町)で開催中だ。県内の前方後方墳や方墳から出土した埴輪(はにわ)、武器、甲冑(かっちゅう)、鏡を中心に、約130点を展示している。

 今年は、全国で初めて「前方後方墳」と名づけられた山代二子塚(やましろふたごづか)古墳(松江市山代町)が国史跡の指定を受けてから100年の節目。全国的には有力な豪族の墓が「前方後円墳」だった古墳時代、松江の風土記の丘周辺では前方後方墳が多く造られた。

 展示では前方後方墳の名付け親の一人として知られる、島根の考古学研究の先覚者・野津左馬之助(1867~1943)の業績も紹介している。また、島根の前方後方墳からの出土物を展示。松本1号墳(雲南市)の獣帯鏡、中山B-1号墳(邑南町)の鉄製の甲冑「方形板革綴短甲(ほうけいいたかわとじたんこう)」、金崎(きんざき)1号墳(松江市)の武器や玉類などが並ぶ。

 斉藤大輔学芸員は「前方後円墳や円墳が盛んだった時代に、島根、特に出雲東部では多くの前方後方墳が築かれた。前方後円墳を中心とした体制が、必ずしもすべての地域に当てはまるわけではないことを、展示を通して知ってほしい」と話す。

 11月24日まで。火曜休館。入館料は大人300円、大学生200円。高校生以下は無料。問い合わせは風土記の丘(0852・23・2485)へ。(大村治郎)

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