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自民党総裁選後、取材に応じる高市早苗経済安保相=2024年9月27日午後3時53分、東京・永田町、上田幸一撮影
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 9月の自民党総裁選で決選投票に高市早苗・前経済安全保障相が残り、「初の女性首相」誕生の一歩手前まで迫った。ジェンダー平等の観点から、この状況をどう見るべきか。何を論じるべきか。日英の政治に詳しい名古屋大の武田宏子教授(政治学)に聞いた。

 ――自民党総裁選直後の9月27日夕、X(旧ツイッター)では、組織内で昇進を阻む存在があることを意味する「ガラスの天井」の言葉が入った投稿が2千件以上ありました。「女性だからか」「ガラスの天井か」といった内容が目立ちました。

 今回の高市氏の敗北は、ガラスの天井とは関係ないと考えます。自民党の組織の中のロジックの問題です。

 高市氏は安倍晋三元首相の路線を引き継ぐとし、裏金問題を抱えた旧安倍派議員が推薦人に名を連ねました。この点を懸念し、自民党は総選挙を前に世論の動向を見て、違う党の顔を求めました。自民党のサバイバル戦略の結果とみるべきでしょう。

懸念される「ジェンダー・ウォッシング」

 ――「女性首相」が現実味をもって語られたことには社会の変化を感じました。楽観的でしょうか。

 総裁選に立候補した9人のうち2人が女性でした。「そのくらいは女性を入れておかねばならない」との意識が自民党内にあったのであれば、わずかながら前進と言えるかもしれません。

 ただ、そもそも圧倒的に女性…

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