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テレビ東京本社が入るビル

 故・ジャニー喜多川氏の性加害問題を巡り、テレビ東京の石川一郎社長は10月3日の定例会見で、旧ジャニーズ事務所(SMILE-UP.〈スマイルアップ〉)からマネジメント業務を引き継いだ、STARTO ENTERTAINMENT(スタートエンターテイメント)のタレントらの新規起用を再開する方針を明らかにした。以前から出演していたタレントの起用は継続する一方、新規起用については民放キー局で唯一、見送り続けていた。

 石川社長はこの日の会見で、スマイル社が進めてきた被害者への補償や経営の分離について、「旧事務所側に要望や要求を出して、答えていただくという作業を続けてきた」とし、「いくつかの進展があったと率直に評価している」と述べた。起用については「スタート社と手続きを進めた上で、あとの起用は現場の判断に任せることになる」とした。テレ東によると、現時点で決まっているものはないという。

 スマイル社は9月30日、同社が設置した「被害者救済委員会」がまとめた1年間の活動状況の報告書を公表。999人が被害を申告し、うち504人と補償内容で合意したという。10月2日には、新たに設立した会社にファンクラブ事業を承継したと発表した。

 テレ東の石川社長は「被害者の救済はまだまだ続くのだろうが、現段階で言えば進展が大きくあったと認識している」などと言及。「今後は色々な形で取引を続けながら改善を要望していくことになる」と述べた。

 テレ東はこれまで、音楽原盤権などのIP(知的財産権)の扱いを注視するとしてきた。この点についてはスマイル社が今年4月、関連会社ブライト・ノート・ミュージック(旧ジャニーズ出版)と共同保有している音楽の原盤権などについて、保有割合を段階的に縮小するといった方針を表明。

 これに対しテレ東の長田隆専務は「その意思は今も変わっていないと確認している。ブライト社の経営に創業家がタッチしないことも明確になったので、経営の分離が進んだという判断をした」と述べた。ブライト社については、創業家の藤島ジュリー景子氏が今年7月に代表取締役を退任している。

 ただ、ブライト社などの関連会社の株主構成については今も明らかになっていない。長田専務は「私たちが強く改善を要請してきた経営の分離はなされた」とする一方、「(株主構成を)確認はすることはあったが、資本関係については先方がお答えになること」とした。

 テレ東は昨年9月ごろから、それ以前に契約していた場合や新旧会社から独立した場合を除き、旧ジャニーズタレントの新規起用を止めていた。一方、同じく昨年9月から新たな起用を見送っているNHKは現在も方針を維持している。

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