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初防衛し、会見前に花束を受け取った藤井聡太王座=2024年9月30日午後10時22分、京都市東山区、樫山晃生撮影
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 将棋の藤井聡太王座(22)=名人、竜王、王位、棋王、王将、棋聖と合わせ七冠=に永瀬拓矢九段(32)が挑んだ第72期王座戦五番勝負(日本経済新聞社主催)の第3局が30日、京都市東山区の「ウェスティン都ホテル京都」で指され、後手番の藤井王座が156手で勝ち、シリーズ成績3勝0敗で王座のタイトルの初防衛を決めた。

 第3局は両者得意の「角換わり」の戦型で、AI(人工知能)の評価値は「ほぼ互角」の状態が長く続いた。夜戦に入って永瀬九段がリードを広げていき、勝勢という評判だったが、両者1分将棋の中、藤井王座の勝負手に永瀬九段が応接を誤り、逆転。終局は午後9時。前期王座戦の決着局となった第4局の大逆転劇を想起させる、最終盤での大逆転勝ちだった。

 終局後、藤井王座は「(王座防衛という)結果を出せたことはうれしく思っています。ただ、本局はかなり苦しい将棋だったので、内容をより高めていかなくてはいけないのかなと感じました」、永瀬九段は「(今期王座戦は)『角換わり』のシリーズでしたが、形勢が良くなったのは本局だけだったので……。チャンスを多く作れればと思ったんですが、チャンスが少なかったかなと思います。(今後は)ゼロから頑張りたいと思っています」と話した。

 前期は、当時挑戦者だった藤井王座が、当時王座の永瀬九段を3勝1敗で破って史上初の八冠を達成したが、今期は、立場を入れ替えての顔合わせ。2人は、研究会で練習将棋を指す間柄で、好勝負が期待されたが、八冠達成を決めた時と同じ対局場で、藤井王座がストレートで防衛した。

 藤井王座のタイトル獲得数は25期(名人2期、竜王3期、叡王3期、王位5期、王座2期、棋王2期、王将3期、棋聖5期)となった。

 藤井王座は今年度、第82期名人戦七番勝負(4~5月)で挑戦者の豊島将之九段(34)を4勝1敗で破り、名人の初防衛を決めたが、第9期叡王戦五番勝負(4~6月)で挑戦者の伊藤匠・当時七段(21)に2勝3敗で敗れて初失冠した。ただ、その後、第95期棋聖戦五番勝負(6~7月)で挑戦者の山崎隆之八段(43)を3勝0敗で破り、棋聖5期獲得で「永世棋聖」の称号を獲得。第65期王位戦七番勝負(7~8月)では挑戦者の渡辺明九段(40)を4勝1敗で破り、王位5期獲得で「永世王位」の称号を獲得。防衛を重ねていた。

 佐々木勇気八段(30)が挑戦する第37期竜王戦七番勝負は10月5日に開幕する(第1局は10月5、6の両日、東京都渋谷区の「セルリアンタワー能楽堂」で)。

 永瀬九段は今期王座戦の挑戦者決定トーナメントで郷田真隆九段(53)、菅井竜也八段(32)、鈴木大介九段(50)、羽生善治九段(54)に勝ち、挑戦権を獲得。2024年2月10日の第17回朝日杯将棋オープン戦の決勝で藤井・当時八冠を破り、初優勝を果たした。前期王座戦でも大熱戦の末、逆転負けした将棋もあり、今期王座戦でのパフォーマンスが注目されていた。(佐藤圭司)

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