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皇居での親任式に向かう石破茂首相=2024年10月1日午後、首相官邸、川村直子撮影
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 石破茂首相は、経済や社会保障の分野では、岸田文雄政権が進めた政策の継続を重視する。前政権が積み残した「負担」のあり方にも向き合う姿勢を示すが、市場の警戒感は強い。最低賃金の大幅アップなど「独自政策」も、実現のハードルは高い。

 「新政権には安心感がある」。ある日本銀行関係者は、そう言って新政権に期待を込めた。

 日銀は今年3月に11年にわたる異次元緩和を終え、7月には追加利上げに踏み切った。賃上げを伴う物価上昇が続けば、今後、さらに金利を引き上げる考えだ。これに対し、石破氏と総裁の座を最後まで争った高市早苗氏は、利上げに否定的な考えを示していた。

 石破氏は、日銀による金融政策の正常化に理解があるとみられている。著書では、アベノミクスによる異次元の金融緩和に一定の効果を認めつつも、超低金利下で企業が本来支払うべき金利を負担しなかったなどと批判。総裁選では、金融所得課税の見直しや、法人増税にも言及した。

 こうした姿勢に、金融市場がさっそく反応した。9月27日に石破氏が総裁選で勝利すると、外国為替市場では急激な円高ドル安が進行。30日の株式市場で日経平均株価は歴代5番目の1910円安を記録した。

社会保障「応能負担」 一筋縄ではいかないものも 

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