イスラエルが1日、レバノン南部を拠点とするイスラム教シーア派組織ヒズボラを標的とし、レバノンへの地上侵攻に踏み切った。各国からは即時停戦を求める声や非難の声が上がった。
- レバノン侵攻は「限定的」で終わるか 最悪シナリオは 専門家の見方
欧州連合(EU)は9月30日、臨時の外相会合を開き、レバノン情勢について議論。会合後、EUの外相にあたるボレル外交安全保障上級代表は、イスラム教シーア派組織ヒズボラとイスラエルとの間の「即時停戦」を呼びかけた。
ボレル氏は「これ以上の軍事介入は状況を劇的に悪化させ、避けなければならない」と強調。「この地域でのさらなる紛争の激化を懸念しており、地域のすべての当事者に対し、緊張緩和のための自制を求める」とした。また、イスラエルに対し、「イスラエルには自国を防衛する権利はあるが、国際人道法の制限も考慮する必要がある」と釘を刺した。
日本外務省は1日、イスラエルの地上侵攻について「深刻な懸念」を表明。「即時停戦」を呼びかけるとともに、「全ての関係者」に対して民間人の犠牲を防ぐよう求めた。
ロシアのペスコフ大統領報道官は1日、イスラエルによるレバノン侵攻とシリアの首都ダマスカスへの空爆について問われ、「主権国家への攻撃を非難する。戦闘地域の拡大が、地域の一層の不安定化と緊張を招いており、周辺地域にとっても破壊的だ」と懸念を示した。
イスラエルによるレバノン侵攻について、トルコ外務省は1日、「違法な侵略行為だ」としてイスラエルを非難する声明を発表した。侵攻はレバノンの「主権と領土保全の侵害」だとし、イスラエル軍が直ちに攻撃を中止し、レバノン領から撤退するよう求めた。
アラブ首長国連邦(UAE)の外務省も声明で、「深刻な懸念」を表明。レバノンへの同国の「揺るぎない支援」を確認するとした上で、同国のムハンマド大統領が、レバノン国民に対する1億ドル(約143億円)の緊急支援パッケージの提供を指示したと明かした。
自国民を退避させる動き相次ぐ
レバノンから自国民を退避さ…