• 写真・図版
  • 写真・図版

 地中海に面する中東の小国レバノン。イスラエルと戦闘を続けるイスラム教シーア派組織ヒズボラが拠点としていることで知られ、2019年には日産自動車のカルロス・ゴーン元会長の逃亡先となったことでも注目を集めた。そもそも、どんな国なのか。

 Q レバノンの特徴は?

 A 岐阜県ほどの面積の領土に約500万人が暮らし、様々な宗派勢力が入り交じるモザイク国家だ。南側に位置するイスラエルと対立する一方で、旧宗主国のフランスや同じアラブ諸国で東側に隣接するシリアとは密接な関わりを持つ。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、レバノンは政府の推定で150万人のシリア難民、その他の国籍の難民1万人超を受け入れており、人口1人当たりおよび1平方キロメートル当たりの難民受け入れ数で世界最多の国という。

  • イスラエル、ベイルート中心部に初の空爆、「3正面作戦」に拡大

 Q 国内政治の状況は?

 A レバノンではイスラム教スンニ派とシーア派、キリスト教マロン派など18の宗教・宗派が公認されている。宗派間の争いが内戦を招いたことから、各宗派が国会の議席などを分け合う「宗派制度」をとる。大統領をマロン派、首相をスンニ派、国会議長をシーア派から選出することで政治権力の配分のバランスをはかってきた。

 ただ、各宗教・宗派もまとまっているわけではなく、政治勢力同士の対立などから混乱も起きた。2022年には当時のアウン大統領が任期を終えたが、後任選びで政党間の調整がつかず、今も大統領は空席となっている。暫定首相はナジブ・ミカティ氏が務めているが、暫定内閣のため、政治危機が続いている。

 Q 経済の状況は?

 A 首都ベイルートは中東の…

共有