写真・図版
菊池衣麻さんの伯母が購入した5枚組みの皿(画像の一部を加工しています)=菊池さん提供

 しっかりしているから大丈夫だと安心していた高齢の身内。ところが実は消費者トラブルに遭っていた――ということがあるかもしれません。認知症だと分かると次第に見守り体制が整いますが、診断前や初期の時期こそ注意が必要です。トラブルに遭わないように、家族や周りの人が知っておくべきことや対策を紹介します。(寺田実穂子)

認知症だと伝えたのに 業者に返金交渉

 山形県に住むエッセイスト菊池衣麻さん(50)は今年に入り、一人暮らしの92歳の伯母の金遣いが気になり始めた。月に2回、車で伯母が先生をつとめる茶道教室への送り迎えをする。その際に暮らしぶりを聞き、家の様子も確認していた。

 ある時、伯母が道具店から35万円もする茶わんや置くスペースがない大きな椅子を買っていたと知った。だが受け答えがしっかりしているので、うまくやりくりしているのだろうと思っていた。

 4月、低血圧で緊急入院し、認知症と診断された。初めて通帳をみると、預金がかなり減っていた。菊池さんは道具店に電話をかけ、これ以上商品を売らないようにと伝えた。

 しかし8月。伯母の近所の人に「10万円の皿を買ったと言っていたのは知っている?」と言われておどろいた。通帳を確認すると、10万円が引き出された記録。その横には手書きで道具店の名前が書かれていた。現金で送ったようだった。

 近くの消費生活センターに…

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