写真・図版
谷原菜摘子さん
  • 写真・図版
  • 写真・図版
  • 写真・図版
  • 写真・図版
  • 写真・図版

 黒いベルベットなどをカンバスがわりに、暗くて幻想的な物語を描く画家・谷原菜摘子さん(1989年生まれ)。東京で開催中の二つの個展では、聖書と個人史というマクロとミクロの視点で、人間の闇をえぐり出した。

 天使がラッパを鳴らし、いなごの群れが現れると、この世に終末が訪れる。上野の森美術館ギャラリーの「どこかでラッパが鳴っている」展の主題は、新約聖書を独自解釈した現代版・ヨハネの黙示録だ。直立して天へ昇っていく飛行機の大群をいなごに見立て、赤髪の「飛行機ガールズ」が終末に立ち向かう物語を、新作絵画6点に関連する過去作を加えて構成した。

谷原菜摘子展「どこかでラッパが鳴っている」は、台東区の上野の森美術館ギャラリーで20日まで。渋谷区のMEMでは、谷原菜摘子展「私たちの人生」展が29日まで開催中(24日休み)。

 クライマックスの「かみに成る」では、腕や頭が飛行機のパーツに変化した彼女たちが天に攻め入り、異形の天使と対峙(たいじ)している。ぺらぺらにねじ曲がった体で倒れているのは、神の勢力に敗れて紙にされた元飛行機ガールだ。絵の具や金属粉、ラインストーンなど多彩な画材で覆われたベルベットは光沢を伴い、天の国の極彩色を表現する。

 「見えないところで大きくな…

共有