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ジャパネットたかたの高田旭人社長=東京都港区、小山幸佑撮影
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 10月、長崎市に大型複合施設を開業するなど、事業拡大を続ける通販大手・ジャパネットホールディングス(本社・長崎県佐世保市)。2代目社長兼CEOの高田旭人(あきと)さん(45)は、創業者の父・明さん(75)と働くなかで、受け継ごうと思った考え方があるという。

 父は静かな人ですよ。地声も低いです。2016年まで出演していたテレビの通販番組での姿とは印象が違うかもしれません。

 父は、祖父が始めたカメラ店の支店を長崎県佐世保市で開き、僕が6歳のころにジャパネットたかたの前身となる「株式会社たかた」を設立しました。当時から商売が生活の中心でした。夜中に温泉街で社員旅行の宴会を撮影し、未明に母が家で現像した写真を翌朝一番に届けに行っていました。「早い」と、お客さんが驚くのだそうです。その後、ラジオ通販に参入し、一時期は会社の終業後も自宅に電話を転送して注文を受けていました。

 時折、経営にかける思いを話してくれていました。「社長は従業員×5人分の生活を背負うんだよ」と言われたことが印象に残っています。社員の家族の分まで背負う、という意味です。

 「子供の可能性を信じてチャレンジさせる」という母の方針で、姉が兵庫の私立中学に進学したのを機に、僕らきょうだい3人と母は一時移住。父がひとり佐世保に残って通販事業に取り組みました。学費を払うのも苦しかったと思いますが、やりたいことは何でも応援してくれました。

■合格の報告、従業員と夜まで…

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