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桂田精一容疑者の逮捕について説明する第1管区海上保安本部=2024年9月18日午後2時9分、北海道小樽市、上保晃平撮影
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 2022年4月、知床半島沖で小型観光船「KAZUⅠ(カズワン)」が沈没した事故で、運航会社社長の桂田精一容疑者(61)が18日、逮捕された。乗客・乗員20人が犠牲になり、今も6人の行方がわかっていない事故は、発生からまもなく2年半になるのを前に、新たな局面を迎えた。

 第1管区海上保安本部が同日、開いた記者会見は、幹部4人が対応し、約2時間半に及んだ。

 なぜ、捜査が長期化したのか。なぜ、逮捕の必要性があったのか。記者からの質問に幹部が繰り返した言葉は、「回答を差し控える」。桂田社長の認否も明らかにしなかった。

  • 知床 観光船沈没事故 データと証言からたどる

 逮捕に至るまで、気象データの分析など証拠を丹念に積み重ねたという。一方で、沈没事故に至った桂田社長の過失について問われると「捜査中のため差し控える」と繰り返した。

 国の運輸安全委員会は昨年9月に最終調査報告書をとりまとめ、公表した。「参考にしたか」の問いには、「目的が異なるものなので答える立場にない」と答えるにとどまった。

 逮捕を受け、釧路地検の朝火恒行次席検事は「引き続き海保と緊密に連携して真相解明に向けた捜査を尽くすとともに、被害者のご家族に寄り添って手続きを進めていきたい」と述べた。

 被害者弁護団代表の山田廣弁護士は「桂田氏の刑事責任を明らかにする上で大きな一歩になる」とし、「引き続き捜査の行方を見守りながら、民事、刑事両面で必要な法的支援をしていく」とコメントを出した。

 地元関係者の受け止めもさま…

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