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7月に福岡市動物園に来園し、9月10日に死亡した12歳のメスのゾウ=福岡市動物園提供
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 福岡市動物園(福岡市中央区)は10日、7月にミャンマーから来園した3~22歳のアジアゾウ4頭のうち12歳のメスのゾウ1頭が死んだと発表した。市によると、ゾウヘルペスウイルスによる感染症と思われる症状があったというが、原因は特定できていない。

 死んだゾウは、7月30日に3歳と22歳のメスゾウの親子のほか、14歳のオスゾウ1頭と共にミャンマーから空路と陸路で運ばれていた。福岡市が運営する同園では、2017年にゾウが死んでゾウ不在となっており、今回、ゾウの飼育エリアを広げるなど約19億円をかけて受け入れ準備を進めていた。

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 市によると、死んだゾウは9月5日に後ろ足を引きずる様子があったが、8日までは食欲や健康状態に変化はなかったという。9日朝、元気がなく食欲の低下を確認。同日午後には、6日のゾウヘルペスウイルス定期検査の結果が出て、陽性と判明した。断続的に薬を投与したが、10日午前9時すぎ、ミャンマーの獣医師が水分補給のための鎮静剤を投与。しかし、午前11時に急に意識を失って倒れ込み、死亡を確認したという。

 ゾウ4頭は、動物用の医療機器6台やライオン2頭、カンガルー10頭、ダチョウ10頭との交換で来園しており、高島宗一郎・福岡市長は「子どもに大人気のゾウさん(を見たい)という市民の期待感に応えた」と語っていた。死んだメスゾウは14歳のオスゾウとペアができれば、繁殖の研究が期待されていた。

 死んだメスゾウはミャンマー名でモー・トウン・ヌエ(雨・にぎやか・つるの意味)といい、少しやんちゃな性格で、ミャンマーでも飼育員(マフー)を上に乗せたがらないなど個性的な性格だったという。

 高島宗一郎市長は「市民に喜んでもらったばかりだったので、大きなショックを受けている。亡くなったメスゾウが安らかに眠れることをお祈りする」とのコメントを出した。

 川越浩平園長によると、アジアゾウの平均寿命は60~80歳ほど。ゾウヘルペスウイルスは、多くのゾウが潜伏感染している可能性があり、免疫が低下したときに陽性となりやすい。特に8歳以下の若いゾウは、発症・死亡のリスクが高いという。

 今のところ、残る3頭の健康状態に問題はない。ただメスの親子2頭は、亡くなった1頭と死の直前まで一緒に生活をしていたこともあり、園は今後、ゾウ舎の消毒のほか、ウイルス検査や経過観察を進める。(伊藤未来、福井万穂)

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