写真・図版
音楽はおなかに来る? グラフィック・廣戸美香

シリーズ 「すいエンス!」

吹奏楽を科学するーー。「あるある」や悩みを科学的に掘り下げてみました。

 楽器を演奏したり、音楽を聴いたりしていると、「今のメロディー、鳥肌がたった」「この曲を聴くとなんだか胸が騒ぐ」など、身体で感じたことがある人も多いのでは?

 東京大の大黒達也准教授(計算論的音楽学)は、どんな音楽を聴くと身体がどう反応するのかを調べるため、AI(人工知能)を使ったオンライン実験をした。

 頭やおなか、心臓が反応しやすいコード進行や、音楽的な美感との関係も見えてきた。感動を呼ぶ演奏のヒントがあるかもしれない。

【動画】実験で使われたコード進行の一例=音源提供:東京大准教授の大黒達也さん

実験で見えてきたこと

大黒准教授に、この実験から考察できたことの詳細を取材しました。

 実験では、20~56歳の男女527人にそれぞれ8曲を聴いてもらい、1曲ずつ、身体のどこの部位で感じたか、パソコン画面上をクリックしてもらった。

 8曲は、コード進行が代わりばえしないものや、後半に「あれ?」と思う音が出てくるものなど、「予測誤差」と「不確実性」の二つの確率を操作し、AIで自動作曲したものだ。

 ポップスの890曲のビッグデータから、コード進行を確率的に計算した。予測誤差とは、例えばハ長調の場合、Gコードのあとは、高確率でC、たまにAがくる。GのあとにCが来れば、予測誤差は低いということになる。

 一方、Gのあとに、CでもA…

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