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発見された当初のイルカの頭骨の化石=三重県総合博物館提供
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 津市で1991年に小学生が見つけたイルカの化石が、新種であることが33年経って判明した。三重県総合博物館の中川良平さん、札幌市博物館活動センターの田中嘉寛さんの学芸員2人が突き止めた。「ミオデルファイヌス・ミエンシス」(和名・ミエイルカ)と命名され、8月、大英自然史博物館(ロンドン)発行の学術誌に掲載された。

 「ミオデルファイヌス・ミエンシス」は、「三重の中新世(約2300万~約500万年前)のイルカ」という意味。インドの川に生息し絶滅の恐れがあるガンジスカワイルカに近い種類という。

 津市一志町の前期中新世(約1800万年前)の地層から、91年7月、亀山市立亀山西小5年だった坂佳彦さんが見つけた。県立博物館(当時)が翌月、化石などの名前を調べる同定会を催した際、坂さんが持参した化石は突出していた上あごの骨の一部からイルカの頭部とわかったため、博物館に寄贈してもらった。

 しかし、カルシウム分による「ノジュール」と呼ばれる非常に硬いかたまり状態になっていたため、それ以上の調査はできなかった。2014年に県総合博物館が設けられても収蔵庫に眠らせておいたままだったという。

岩石・泥の除去作業だけで2年

 「いい標本があるんですよ」。小型哺乳類化石が専門の中川さんがクジラ類の進化に詳しい田中さんに声を掛けたのは17、18年ごろだった。

 「これはすごい」。田中さん…

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