障害者グループホーム(GH)運営大手の「恵」(本社・東京)が食材費の過大徴収などの組織的不正を繰り返していた問題で、名古屋市は31日、同社の「グループホームふわふわ」(同市緑区、定員28人)の事業者指定を取り消した。この日、介護サービス会社「ケアサポート」(同市中村区)が運営を引き継いだ。利用者は引き続き入居できる。
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新たな事業所名は「グループホーム ケアサポートみどり」。従業員の雇用も継続する方針だ。スタッフは「増員されるとも聞いていて、むしろ働きやすくなるのでは」と期待を寄せる。
恵をめぐっては、愛知県と名古屋市が6月、県内5カ所のGHの指定取り消しを決定。厚生労働省は「連座制」を適用し、12都県に約100あるGHすべてで順次運営ができなくなることになった。同市緑区のGHの処分日が最も早く、市などが対応を急いでいた。
恵は年内にも一括譲渡する意向を示すが、具体的な譲渡先は決まっていない。利用者や家族、GHのスタッフから不安の声が上がっている。
「地域移行」めざす国の方針 裏目に
障害者GHは、障害者総合支援法が定める障害福祉サービスの一つで、共同生活を送る障害者にスタッフが食事や入浴、排泄(はいせつ)などの介助を行う。恵は2018年にこの分野に参入し、愛知や首都圏を中心に12都県で約100のGHを展開する大手に急成長した。
その裏で、利用者から集めた食材費を3分の1しかGHに配分せず、虚偽の出勤簿を提出してサービス報酬を水増し請求していた。障害者を「食い物」にする業者が生まれた背景に何があるのか。
これまで知的・精神障害者は…