ある人にとっては要らないモノが、別の人にはのどから手が出るほど欲しい「お宝」に――。フリーマーケットの売り買いをスマートフォンで気軽にできるようにしたメルカリ。日々さまざまなものが流通していますが、売れ筋のデータをみると、約10年前と今では大きく変わっています。消費者が求めるものは何か。日本事業トップの山本真人・執行役に聞きました。
――公表データでみると、メルカリでの累計出品数は30億品、月間の利用者は2300万人います。2010年代半ばにサービスが始まったとき、記者は「ヤフーオークションと何が違うのか?」と思いましたが、ここまで広まった理由をどうみていますか。
「『要らないから捨てるしかないモノが、実は資産になる』ということが定着したからだと思っています。特に、1990年代半ばから2010年代序盤に生まれたZ世代は、『大きな消費はしない』と言われていますが、我々のデータでは、『推し活』など自分の興味の対象にはすごくお金を使う。そのために、いま不要なモノを売る。『推し』の対象が変われば売る。モノを抱え込むのではなく循環させることが、当たり前になっています」
「もちろん、昨今の物価上昇もあります。物価が上がったので給料も上がる、なら良いのですが、なかなかそうでもない。ではどうするか。欲しいモノを買う原資を生み出すために不要なモノを売る。新品よりも安く買える。それが支持されていると思います」
「ジャンル別でみると、14年で最多だったのは、女性向けの服やバッグ・靴といった『レディース』(37%)でした。これが23年は、おもちゃやゲーム・本などの『エンタメ・ホビー』(28%)になっています。ゲームボーイのソフトや昔の少年ジャンプ誌など、もはや新品が買えないモノは人気ですね。漫画でも、色あせした昔の本をわざわざ探している人も多い。レトロ感が受けています」
――売れ筋のブランド品にも変化があるそうですね。
「13年のブランド別の売れ…