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イタイイタイ病訴訟控訴審で「勝訴」の垂れ幕を受け取る被害者団体の会長(左)=1972年8月9日、名古屋高裁金沢支部

 富山県の神通川流域で発生した四大公害病の一つ、イタイイタイ病の認定患者で唯一生存していた富山市の90代女性が11日、亡くなった。被害者団体によると、県は1967年以降、201人の患者を認定してきたが、生存する患者がいなくなるのは初めてという。

 イタイイタイ病は、富山市を中心に流れる神通川上流の神岡鉱山(岐阜県)の排水内のカドミウムが原因となって引き起こされた。水や米を通して摂取した流域の住民が腎臓障害や骨の軟化などの被害を受けた。

 被害者団体のイタイイタイ病対策協議会によると、女性は入院先の病院で亡くなった。元会長の高木勲寛(くにひろ)さん(82)は数日前、女性の家族から「危篤です」と聞き、驚いたという。「患者認定にまで至らなくとも、患者になりうるため観察が必要な人やカドミウムによる腎障害に苦しむ人がおり、イタイイタイ病はまだ終わってはいない」と強調した。

 県は今月4日、患者の認定にかかわる審査会を開催。富山市の別の90代女性を前年に続き、将来の発症がありうる「要観察者」にあたるとした。要観察者はこれまでに345人にのぼり、うち生存者はこの女性1人という。(小西良昭)

イタイイタイ病

 イタイイタイ病 四大公害病…

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