1997~2007年度生まれの女性が、子宮頸(けい)がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)の予防接種を無料で受けられる措置の期限が来年3月に迫っている。無料で接種を受け終えるには、9月末までに初回の接種をしておく必要がある。ただ、厚生労働省の調査では、対象者の半数がこの措置を知らないと答えており、呼びかけを強化している。(足立菜摘)
HPVには約200種類の型があり、うち15種類で子宮頸(けい)がんを引き起こすことが分かっている。性交渉を通じて、女性の多くが生涯に1度は感染すると言われる。感染しても自然に消滅することが多いが、一部の人では感染が持続し、数年から数十年かけて子宮頸がんに進行する。
HPVワクチンは、子宮頸がんの原因になる種類のHPVの感染を防ぐ。九つの型のHPVに対応する9価ワクチンは、子宮頸がんの原因となるHPVの8~9割を予防できるとされる。
1997~2007年度生まれは、救済措置で現在無料に
13年4月、小学校6年~高校1年相当の女性を対象に、予防接種法に基づき無料で接種を受けられる定期接種となった。しかし、接種後の体の疼痛(とうつう)や運動障害などを訴える声が相次ぎ、厚労省は同年6月に接種の積極的な勧奨を中止した。
その後の研究によって安全性が裏付けられたとして、厚労省は22年4月、9年ぶりに積極的勧奨を再開した。だが、この間に定期接種の対象だった年代の接種率は、大きく落ち込んだ。
定期接種になる前に、国が緊急促進事業で公費負担していた時期は、対象のほとんどの年代で接種率が7~8割ほどだった。一方、積極的勧奨を控えた影響が大きく出た2000年度以降に生まれ年代では、接種率が1~2割にとどまる。
そこで厚労省は再開に合わせ、1997年4月2日~2008年4月1日生まれの女性を対象に、「キャッチアップ接種」として救済措置を始めた。自費で打つと数万~10万円ほどかかる接種費用を、定期接種と同様に公費で全額負担している。
15歳以上の人では、HPVワクチンは基本的に3回の接種が必要になる。接種の間隔を数カ月あけるため、3回目を終えるまでに約6カ月かかる。このため、今年9月までに1回目を接種しないと、25年3月の措置終了に間に合わず、途中で公費助成を受けられなくなる。
若い世代に多い子宮頸がん、毎年2900人が亡くなる
ただ、キャッチアップ接種は…