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 突然、「あっ」と声が出たり、首を振ったり――。街中でそんな人を見かけたら、発達障害の一つ「トゥレット症」の当事者かもしれません。

 自分の意思とは関係なく、勝手に体の動きや声を繰り返してしまうチック症は、子どもの10人に1~2人が発症するありふれた病気だ。多くは自然によくなるが、運動チックと音声チックが1年以上続く場合、トゥレット症と診断される。

 10~12歳ごろに症状のピークを迎える人が多く、大人になっても激しい症状が続く人は少ない。ただ、少数派だからこそ、勉強や就職、人間関係などさまざまな場面で生きづらさを感じやすい。

 チックの症状は多岐にわたり、当事者によっても出方はさまざまだ。

 運動チックの場合、首をふる、まばたきをする、体をたたく、跳び上がるといった症状がある。

 音声チックの場合、短い声が出る、せき払いをする、他人の言葉を繰り返す、汚い言葉やひわいな言葉を繰り返す「汚言症」などがある。汚言症は目立つため注目されやすいが、発症する人は少ない。

 東大こころの発達診療部の金生由紀子准教授は「やってはいけないと思えば思うほど、やってしまうのがトゥレット症の特徴の一つ。『強迫性』と『衝動性』の疾患といえる」と説明する。

 最近の研究では、200人に1人の割合で発症するというデータもある。2~4対1の割合で、男性の方が多い。

かつては「親の育て方が悪い」

 原因はよくわかっておらず…

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