夕暮れ時の散歩が気持ちよい季節。だが気がかりなのは蚊の存在だ。デング熱やマラリアといった怖い病気を運ぶ厄介者でもある。蚊の行動観察に特化した装置があると聞き、埼玉県和光市の理化学研究所を訪ねた。
知覚神経回路機構研究チームの風間北斗チームリーダー(46)の実験室の一角には蚊帳がつられている。中に入る黒い箱が、仮想空間を使った初の蚊の観察装置。「仮想」というのは装置の中を蚊が実際に飛ぶことは無いからだ。
装置の中央にヒトスジシマカ(通称ヤブ蚊)を固定し、羽だけを動かせるようにする。左右のマイクが羽音の音量や周波数を計測し、右側の音が大きければ蚊は左に向かって飛ぼうとしているなど、行動が解析できる。さらに蚊の前のLEDパネルは、左右に曲がるといった蚊の動きにあわせ、視界を動かし、飛んでいると錯覚させる。
「黒い服刺されやすい」通説は……仮想空間で見てみると
LEDパネルの黒い部分を追…