中国の無人月探査機「嫦娥6号」が月の裏側に着陸する際に撮影した画像=新華社

 月の裏側の土を採取した中国の無人探査機「嫦娥(じょうが)6号」が25日、地球に帰還した。国営中央テレビが同日午後2時5分(日本時間午後3時5分)すぎごろ、内モンゴル自治区に着陸する様子を報じた。月の裏から試料を持ち帰る「サンプルリターン」は史上初で、今後の分析結果が注目される。

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 月は常に同じ面を地球に向けており、裏側の探査は難易度が高いとされる。中国国家航天局や中国メディアによると、嫦娥6号は54日間の飛行中、中継衛星を介して地球と交信しながら月面に着陸。試料を採取した後に上昇機を打ち上げ、軌道上の周回機とドッキングして、地球に戻った。

 帰還機には、約2キロの試料が積まれているとみられる。嫦娥6号が試料を採取した場所は、月の南極に近く、別の天体が衝突して生まれたとされる「エイトケン盆地」。試料を分析することで、太陽系初期の天体の成り立ちや月の裏側の地殻構造、極域に凍っているとされる水資源などについて分かるのではないかと期待されている。

 中国は2019年の「嫦娥4号」で史上初めて月の裏側に着陸したのに続き、サンプルリターンにも成功したことで、裏側探査でのリードを印象づけた。一方、今年に入って、日本の探査機「SLIM(スリム)」や米国の民間機も月面着陸しており、月をめぐる各国の競争は一層厳しさを増しそうだ。(蘇州=小早川遥平)

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