明石市が水道水に利用するため河川水を取り込んでいる明石川取水場=2024年6月6日、神戸市西区玉津町、大久保直樹撮影
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 健康への影響が懸念されている有機フッ素化合物のPFAS(ピーファス)を巡り、兵庫県明石市が行った明石川流域の水質検査で、国の暫定目標値(1リットルあたり50ナノグラム)を大幅に上回る最大92倍のPFASが検出されていたことが分かった。市は、下流部にある取水場では希釈されて数値が大幅に下がり、さらに高度浄水処理なども経ていて、飲み水としての安全性に問題はないとしている。

 PFASは水道法で検査が義務づけられている水質基準の項目には含まれていないが、市はPFASについて、浄水処理後の数値は公表している。原水となる河川水は公表対象としていなかったが、市が朝日新聞の取材に明らかにした。

 PFASは、約1万種類あるとされる有機フッ素化合物の総称。半導体の製造や泡消火薬剤など幅広い分野で使われた。発がん性など人の健康に悪影響を及ぼす可能性が指摘されており、一部は製造や輸入が原則禁止されている。厚生労働省は2020年4月、水道水について、PFASの代表的な物質であるPFOSとPFOAを水質管理目標設定項目に追加した。

 明石市では市内に三つある浄水場のうち、明石川浄水場と鳥羽浄水場で、明石川と地下水を利用している。各浄水場で高度浄水処理をした後、各家庭に配水している。

 市水道局は20年2月からPFASを検査してきた。市水道局によると、明石川流域の原水の検査は、取水場と明石川に合流している神戸市西区押部谷町の水路の2カ所で実施した。このうち水路では、20年8月に1リットル当たり4100ナノグラム、23年2月には4600ナノグラムがそれぞれ検出された。今年2月にも1900ナノグラムが検出されている。

 ただし、下流に位置する取水場では河川水で希釈され、高くても200ナノグラム程度までに収まっているという。市水道局は取水後、活性炭に吸着させたり、地下水をブレンドしたりして処理し、水道水として配水する段階では、国暫定目標値の半分以下という。市水道局は「飲み水として安全なので、安心して利用してほしい」と強調する。

市長「市民が迷わない正しい情報を出していく」

 同市では昨年11月、独自に…

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