米ウィリアムズ大学社会学教授のジェームズ・L・ノーランJr.さんの祖父は、科学者ロバート・オッペンハイマーが指揮した「マンハッタン計画」に関わり、原爆投下後の広島・長崎での調査にも加わりました。「映画に盛り込まれればよかったが、完全に除外された」というエピソードがあるそうです。
(この記事には、映画の内容に触れる部分があります)
映画「オッペンハイマー」は何を描き、何を描かなかったのか。オッペンハイマーにゆかりのある米国人や在米日本人に聞いたインタビューシリーズの初回です。第2回は「原爆の父」ロバート・オッペンハイマーの孫、チャールズ・オッペンハイマー氏(4日夕方配信)の予定です。
――映画「オッペンハイマー」を見て、どういう印象を持ちましたか。
3回見ました。全体的にはポジティブに受け止めています。クリストファー・ノーラン監督はオッペンハイマーの評伝に基づいて、忠実に伝えたと思います。
計画に参加した祖父(ジェームズ・F・ノーラン医師)は産婦人科医としてオッペンハイマーの妻が娘を出産する際も担当し、緊密な関係でした。オッペンハイマーから祖父への書簡も残っています。
映画に出てくるように、オッペンハイマーは戦後、トルーマン大統領に招かれて訪れたホワイトハウスで原爆開発を振り返り、「私の手は血で汚れています」と述べ、自分が開発したものに悩まされていることを告白します。監督自身が語るには、「マンハッタン計画」とは、過去だけでなく技術開発をめぐる現代の我々への教訓でもある。計画当時の核技術開発だけでなく、現在進行中の人工知能(AI)などの発展が人類に及ぼすことについての懸念もある。ですから映画は、科学者が達成したこと(原爆開発)を賛美してはいません。
映画の場面にもありますが…