群馬県で13年ぶりに生まれた梅の新品種「ゆみまる」が、初出荷された。全国2位の生産量を誇る県内だが、収穫量は1トン程度とまだ少ない。すべて加工業者に出荷され、カリカリ梅になるそうだ。
ゆみまるは、県内の主力品種「白加賀」のために生まれたようなものだ。自力で受粉できない白加賀は、ミツバチに頼って別の品種の花粉を受粉し、実をつける。しかし、これまで同時期に花咲く品種が少なく、白加賀の収量が一定しないのが課題だった。
ゆみまる開発のコンセプトは、白加賀の開花時期と同じ頃に花咲くことと、自力で実をつけること。二つを兼ね備えるよう梅を交配させ、十数年がかりで県内3番目となる新品種を作った。栽培は2018年度から始まっている。
今後は、白加賀の生産量が安定し、ゆみまる自身も実をつけるため、増産が見込める。味も、さわやかな青梅の白加賀に対し、ゆみまるはフルーティーな味わい。種に梅特有のとがりがないので食べやすく、梅干しや梅酒への応用も期待できるという。
現在の作付面積は1・8ヘクタールで、将来的には県内の総作付面積の5%に当たる30ヘクタールに広げる計画だ。県担当者は「生産量を増やして、ゆくゆくはスーパーで販売してもらえる品種にしたい」と話している。(古賀大己)