「ブラームス交響曲全曲演奏会」で指揮をする坂入健司郎さん=大阪市北区、槌谷綾二撮影
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 まとった空気はやわらかい。指揮者の持つ「孤高のカリスマ」のイメージより、「頼れる営業社員」がしっくりくる。

 それもそのはず、数年前までの約10年間、平日は会社勤めをしていた。「仕事の時間も音楽をしたかったという思いはあります。その半面、違う境遇の人と躊躇(ちゅうちょ)なくコミュニケーションがとれるようになったのは、サラリーマンとして培った財産です」

 クラシックを好きになったのは、幼稚園児のとき。歴史漫画に登場したモーツァルトやチャイコフスキーから音楽家に興味を持ち、通販のCDブックを買ってもらったのがきっかけだ。中学、高校のオーケストラでは指揮者に。でも、レッスン代や学費などの面から、音大には進まなかった。

 慶応大学経済学部を卒業後…

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