初防衛、名人2連覇なる――。藤井聡太名人(21)=竜王・王位・叡王・王座・棋王・王将・棋聖と合わせ八冠=に豊島将之九段(34)が挑戦した第82期将棋名人戦七番勝負第5局が26、27の両日に北海道紋別市のホテルオホーツクパレスで指され、藤井名人が99手で勝利した。挑戦者を4勝1敗で退け、八冠を堅持した夜、名人に尋ねたこと。
運命とは決まっているものか、切り開くものか――。
七番勝負の途中、勝負師への愚問を藤井に投げ掛けると、異筋の答えが返ってきた。「どちらでもないと思います」。二者択一と想定した局面での第三の応手だった。
土俵際の挑戦者が別府で1勝を返し、中6日で迎えた紋別対局。到着時の気温は8度。名人戦史上最北地での勝負は後手の豊島が四間飛車に構えて始まった。昨期から棋風を改造した元名人の変化の象徴。ついに名人戦の盤上に出現した。
藤井は金銀4枚の穴熊に潜っ…